INSCAPE
ジョゼフ・E・ヨアクムの風景画の深淵に迫る。ルメールは過去のコレクションから引き続き、カプセルワードローブを通じて視覚的・比喩的なモチーフを扱い、絵画の平面的な表現と体の動きを融合させています。今シーズン、ルメールはパリ、東京、ソウルでの一連の展覧会を通じて、ネイティブアメリカンのフォークアーティスト、ジョゼフ・E・ヨアクム(1890年~1972年)に敬意を表します。展覧会「Inscape」では、ジョゼフ・E・ヨアクムが描いた、静寂ながらも生き生きとした風景を巡ります。
JOSEPH E. YOAKUM
ジョゼフ・E・ヨアクム(1891年~1972年)の独特な風景画の視点は、世界中を旅したことと第一次世界大戦の体験に支えられています。独学で絵画を学び、人生の記憶をたどりながら2,000点以上の臨場感あふれる風景画を描き、ポストカードから着想を得たようなロマンティックな世界観を構築しました。ジョゼフ・E・ヨアクムの作品には、アメリカや異国の地を訪れる遊牧民としての人生が反映されています。
ジョゼフ・E・ヨアクムは、勤勉な測量士のように地形データを収集し、ごく一般的な紙の上にボールペン、色鉛筆、パステル、水彩絵の具などを使って作品を制作。絵画制作を通じた探求は、個人の歴史、集合的無意識、そしてその先にあるものを深く掘り下げています。フランスで初めて公開された、解剖図や地質構造を思わせる風景は、土地の個性を反映しながら、地平線上に開かれた親密な記憶のノートブックを形作っています。
現在、ジョゼフ・E・ヨアクムの作品は複数のパブリックコレクションに収蔵されており、特にシカゴ現代美術館、ワシントンD.C.のナショナルギャラリー、ピッツバーグのカーネギー美術館、フィラデルフィア美術館、ホイットニー美術館など、数多くの権威ある個展やグループ展で取り上げられています。ニューヨーク近代美術館(MOMA)では、2021年11月28日から2022年3月19日まで、作家初の大回顧展 「Joseph E. Yoakum: What I Saw.」が開催されます。
「Inscape」は、私たちが住む世界、そして心の風景の奥深くを思い出させてくれます。絶え間ない時間の流れを逸脱し、想像の世界にある迷宮のような場所から、私たちを誘います。ジョゼフ・E・ヨアクムは、その略歴と晩年の経歴をほとんど明かしませんでした。チェロキー族の両親を持つネイティブ・アメリカン、そしてアフリカ系とアメリカ系であると主張していました。また、南極大陸を除くすべての大陸を「浮浪者や密航者」として訪れたと主張しています。子供のころはサーカス団に入り、第一次世界大戦中は若い兵士としてフランスに渡り、その後、列車で米国西部を単身で横断したのち、70歳でシカゴに定住。創作活動に打ち込んでいたといいます。
ジョゼフ・E・ヨアクムの作品から着想を得た2022年春夏カプセルコレクションを記念して、ルメールがプロデュースした「Inscape」は、Anna FurneyとVenus over Manhattan Galleryの支援を受けています。